新車をお得に購入する方法のひとつとして、残価設定ローンを検討する方もいるでしょう。残価設定ローンは月々の支払額を少なくできるお得な購入方法ですが、金利はどれほどなのでしょうか。
この記事では、残価設定ローンの金利はどれほどなのか、金利以外にチェックしたいポイントを紹介します。最後まで読んでお得に購入できる方法を見つけましょう。
残価設定ローンの金利はどれくらい?
残価設定ローンは、数年後の車両価値を残価として据え置く方法です。ここでは、残価設定ローンとはどのようなローンなのか、他のローンとの違いを紹介します。
残価設定ローンの概要
残価設定ローンは、購入時に将来的な下取り価格(残価)を想定し、それを車両価格から引いた金額でローンを組む方法です。残価は最終支払いまで据え置きされ、契約者は最終支払い時に残価をどのように処理するかを自由に選べます。
残価分を支払って引き続き乗れるという選択だけでなく、下取りに出して新しい車に乗り換えることも可能です。各自動車メーカーが残価設定ローンを提供していますが、仕組みは大きく変わりません。
以下の記事では、残価設定ローン(残クレ)とは何か詳しく解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
他のローンとの金利の違い
車のローンは、残価設定ローン以外に金融機関が提供する「マイカーローン」、ディーラーが提供する「ディーラーローン」「残価設定ローン」があります。
このうち金利が低い傾向にあるのがマイカーローンです。2%~5%から利用できるものが多く、中には住宅ローン利用者や給与振込口座を持つ人を対象に金利優遇措置を受けられるものもあります。優遇金利を活用すれば1%台でローンを組むことも可能です。
ディーラーローンや残価設定ローンは金利が高い傾向にあります。キャンペーンなどを活用すれば、お得に利用できますが、マイカーローンほどの低金利は難しいでしょう。
総支払額はどれほど差が出る?
金利の値だけを見るとわずかな差にも感じますが、詳細を計算してみると大きな違いがあることが理解できます。以下は、新車価格250万円の車をマイカーローンで購入した場合と残価設定ローンで購入した場合の料金比較(目安)です。
マイカーローン |
残価設定ローン |
|
契約期間 |
3年 |
3年 |
金利 |
1.9% |
3.0% |
残価 |
– |
100万円 |
1か月当たりの支払額 |
7万1,497円 |
4万7,381円 |
総支払額 |
257万3,904円 |
265万8,335円 |
このように、残価を設定した分、マイカーローンよりも月々の支払額は減らせます。しかし、金利が高いため、総支払額は高くなってしまいます。
残価設定ローンの金利はメーカーによっても異なる
残価設定ローンの金利はおおよその目安はあるものの、実際にはメーカー(ディーラー)ごと、契約内容などによっても異なります。ここでは、メーカー別の残価設定ローン金利の目安を紹介します。契約を検討するタイミングによっては、キャンペーンでさらにお得に残価設定ローンを利用可能です。
トヨタ:金利3.6%~4.9%
トヨタの残価設定ローンは、月々の支払いにカードポイントが使える「使ってバック」があります。使ってバックは、トヨタのクレジットカード「TS CUBIC CARD」の利用で獲得できるポイントを、月々の支払いへ充当できるサービスです。TS CUBIC CARDは公共料金・携帯電話利用料の支払いにも対応しているため、よりお得に車を購入できます。
以下は、トヨタの残価設定ローンで購入できる車種の一例です。
・アルファード
・ヴォクシー
・シエンタ
ダイハツ:金利2%~4%
ダイハツは残価設定ローン「ワンダフルクレジット」と「ワンダフル ツイン」を提供しています。ワンダフルクレジットは、一般的な残価設定ローンと同じく3年・4年・5年の契約期間で毎月返済を行うのに対し、ワンダフル ツインは、2度の支払いで済ませる方法です。
また、満60歳~79歳の方を限定としたプラン「ワンダフルクレジットプラス」もあります。「新車に乗りたいけれど免許証返納も近いし体調が不安」といった方でも、家族に負担をかけることなく利用できる支払い方法です。
以下は、ダイハツの残価設定ローンで購入できる車種の一例です。
・タフト
・トール
・タント
日産:金利3%~5%
日差は残価設定ローン「日産ビッグバリュークレジット」と「日産テーガク5」を提供しています。契約期間を3年・4年・5年から選べる「日産ビッグバリュークレジット」に対し「日産テーガク5」は5年契約で一般保証も5年まで延長されるローンです。
日産で残価設定ローンを利用すると、修理補償サービス「ケアプラス」を付帯できます。リアバンパーやホイールを損傷したとき、駐車中にドアパンチの被害を受けたときに、修理費用を3万円まで補償する内容です。
以下は、日産の残価設定ローンで購入できる車種の一例です。
・エクストレイル
・セレナ
・キャラバン
ホンダ:金利4.3%
ホンダの残価設定ローンは、月々の支払額を3,000円から設定できるのが魅力です。月々の支払い負担を最小限にしながら、新車を購入できます。契約期間は3年・4年・5年から選択が可能です。資金に余裕ができたら一部繰上返済や早期一括返済にも対応しており、その際の手数料はかかりません。
以下は、ホンダの残価設定ローンで購入できる車種の一例です。
・ステップワゴン
・N-BOX
・フィット
スズキ:金利2.9%~3.9%
スズキの残価設定ローンは「かえるプラン」です。エンジンオイル交換や点検を行うメンテナンスパックが付いているため、いつでも快適なカーライフを送れます。契約期間は3年・4年・5年から選択が可能です。走行距離制限は3年で3万km未満、4年で4万km未満、5年で5万km未満と決められています。
かえるプランにはキャッシュバック特典があるのも魅力です。例えば、新車への乗り換えをすれば2万円、禁煙車であれば1万円といったものがあります。
以下は、かえるプランを利用できる車種の一例です。
・ソリオ
・スイフト
・ワゴンRスマイル
三菱:金利3%~4%
三菱は残価設定ローン「スーパーマイカープラン」を提供しています。スーパーマイカープランの走行距離制限は、月間1,000kmもしくは1,500kmです。支払い回数は36回・48回・60回から選べ、一部車種は最大84回の選択も可能です。
スーパーマイカープランには4つの修理補償「助かる補償」が付帯されます。窓ガラスやドアミラーの破損、パンク、事故修復にかかる費用などを最大10万円補償してもらえるものです。
以下は、スーパーマイカープランを利用できる車種の一例です。
・デリカD:5
・アウトランダーPHEVモデル
・デリカミニ
マツダ:金利2.99%
マツダは残価設定ローン「マツダスカイプラン」「2回払いマツダスカイプラン」を提供しています。マツダスカイプランの走行距離制限は、年間3万6,000km~8万4,000kmがあり、契約プランによって異なります。残価率は車種によって異なりますが、CX-5は最大60%(3年)、40%(5年)、30%(7年)です。
2回払いマツダスカイプランは、初回と最終回のみ支払う方法です。契約期間は3年のみで、その間の月額払いは必要ありません。
以下は、マツダスカイプランおよび2回払いマツダスカイプランを利用できる車種の一例です。
・MAZDA2
・MAZDA ROADSTAR
・FLAIR CROSSOVER
残価設定ローンを使う際にチェックしたい金利以外のポイント
月々の支払いを少しでも抑えるため、金利だけに着目してしまいがちですが、残価設定ローンを使う上で他にも確認したいポイントがあります。これらは契約内容や利用するディーラーによっても異なるため、しっかりと確認することが大切です。
最終回支払いの選択肢
残価設定ローンで契約した車は、最終回支払いを迎えると「乗り換え」「返却」「買い上げ」のいずれかを選択します。乗り換えと返却は、いずれもディーラーに車を返す方法です。
買い上げを選ぶ場合、残価分を支払います。残価分といっても車両価格の25%~65%程度に据え置かれることが多く、安い金額とはいえません。現金一括での支払いが難しいときは、金融機関でローンを組む、再クレジットを依頼するといった方法を利用します。
再クレジットを組む場合は、再度審査を受ける必要があるだけでなく、金利が高くなりやすい点に注意が必要です。
契約期間
残価設定ローンは、車両価格から残価を差し引いた金額を契約期間で返済します。契約期間は、3年・5年・7年から選べるのが一般的です。選択肢があれば自分で好きな契約期間を選べますが、契約期間を短くすると月々の支払額が増えてしまうため、慎重に決める必要があります。
選べる車種・グレード
残価設定ローンは全ての車種・グレードで利用できるわけではありません。一部の車種とグレードは、残価設定ローンを利用できず、マイカーローンや現金一括で購入する必要があります。
例えば、日産NV200バネット バンは、MYROOM以外のグレードは残価設定ローン契約ができません。どのメーカーも大部分の車種・グレードを選択できますが、不安な方はあらかじめ確認すると安心です。
走行距離制限
車は走行距離が長いほど価値が下がります。残価設定ローンは、あらかじめ設定した残価を担保するために、走行距離の制限が決められています。
走行距離の制限は、月間1,000kmと1,500kmもしくは年間1万2,000kmと1万8,000kmが一般的です。選ぶ車種やプランによっても異なりますが、1kmでも超過すると1km当たり5円~10円の負担金を請求されます。長距離走行の頻度、月間・年間走行距離の目安など、自身の使用状況をよく考えて契約することが大切です。
返済計画
残価設定ローンに限った話ではありませんが、車をローンで購入する際は返済計画をしっかりと立てることが大切です。近年、軽自動車でも100万円を超えるものが多く、安い買い物とはいえません。将来的に起こり得るライフイベントを踏まえ、無理のない返済ができるかを見極めてから契約を結びましょう。
残価設定ローンのメリットを得られるのはこんな人
残価設定ローンにはいくつかのメリットがあります。ここでは、残価設定ローンのメリットをより実感できる人の特徴を紹介します。
支出の負担を増やしたくない人
残価設定ローンは、将来的な下取り価格を残価として据え置き、残りの金額を契約期間で返済する仕組みです。そのため、他のローンよりも月々の支払額が抑えられ、家計への負担も最小限に抑えられます。「少ない出費で新車に乗りたい」という方にとって最適な購入方法といえるでしょう。
新しいもの好きな人
残価設定ローンは、3年~5年を契約期間に定めるのが一般的です。この期間は車のモデルチェンジ時期とも重なるため、契約期間終了後に車の乗り換えを選べば、新しいモデルの車に乗り換えられます。一般的な購入方法では、このような短期間で新型モデルに乗るのは経済的負担が大きくなりますが、残価設定ローンであれば常に最新装備を備えた新型モデルへ乗れます。
マイカーローンの審査に抵抗がある人
マイカーローンは低金利で融資を行っているため、審査通過が厳しい傾向です。残価設定ローンはマイカーローンよりも金利が高く、審査通過がしやすいといわれています。
また、同額の車を購入する場合、月々の支払額が抑えられて返済負担率も下がることも、残価設定ローンのほうが比較的審査通過しやすいと言われる要因です。
こんな人は残価設定ローンよりもマイカーローンが向いている
残価設定ローンは魅力の多い購入方法ですが、この魅力を実感できない人もいます。ここで紹介する特徴に当てはまる方は、残価設定ローンよりもマイカーローンの利用を前向きに考えましょう。
自分好みに改造したい
好きな車を買ったら「アルミホイールを変えたい」「改造してレースやスポーツ走行を楽しみたい」と考えている方もいるでしょう。残価設定ローンで契約する車は、レンタカーのように返す際に原状回復する必要があり、自分好みにカスタマイズして楽しむことはできません。
マイカーローンであれば、好きなパーツへ交換したり、車中泊仕様に改造したりしても問題がありません。愛車にこだわりを持ちたいと考えている方は、マイカーローンが最適です。
自分名義で車を所有したい
残価設定ローンは、ディーラーが車を担保として契約することから、所有権を持てません。所有権がなければ、自由な売却・廃車手続きが不可能です。完済後、所有権解除手続きをすることで所有権を自分へと移せます。
マイカーローンは、契約当初から所有権を自分名義にできます。そのため、返済期間中でも売却が可能で、買い替えも好きなタイミングで行うことが可能です。また、車検証上の名義も自分にできるため、愛車を所有していることをより実感できるでしょう。
制限なく車に乗りたい
残価設定ローンで契約した車には、カスタマイズや走行距離の制限が設けられています。原状回復が難しいようなカスタマイズを行ったり、走行距離の上限を超えたりすると契約期間終了時に請求費用が発生するため、自由に車を扱えるとはいえません。
マイカーローンであれば、このような制限が設けられていないため、自分好みのカーライフを送れます。車の購入当初は使用頻度が少なく、時間の経過とともに車を使う機会が増えるなど、使用状況の変化に柔軟に対応できるのもマイカーローンの大きな魅力です。
以下の記事では、低金利でおすすめのカーローンついて解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
残価設定ローンを契約する際の金利に関する注意点
残価設定ローンの契約期間は比較的短いものの、乗っているうちに愛着が湧いたり、ライフスタイルが変化したりする方もいるでしょう。残価設定ローンの契約期間後に車を買い上げる際は、残価精算が必要です。残価精算は再度ローンを組む分割支払いも可能ですが、金利が高くなる可能性があります。
また、残価設定ローンの金利は時期による影響を受けやすい点にも注意が必要です。金利を下げて購入者を増やそうと決算月やボーナス時期は、低金利キャンペーンを行います。金利にこだわりたい方は、キャンペーンが行われる時期を狙って購入するのがお得です。
残価設定ローンでよくある疑問
残価設定ローンは近年普及してきた支払い方法で、利用したことのある方が多いとはいえません。利用したことがない方は、共通した疑問を持ちます。ここでは、残価設定ローンの利用に関してよくある疑問とその答えを紹介します。
Q.途中で解約できる?
結論、残価設定ローンは契約期間の途中でも解約が可能です。途中で解約すれば毎月の返済負担から解放されることに加え、維持費の支払いや税金の支払い義務もなくなります。
しかし、途中解約する場合は、一括返済が原則です。契約内容によっては途中解約による違約金を請求されるケースもあるでしょう。金銭的な理由で途中解約するときは、途中解約でさらに困ることがないよう、慎重に検討することが大切です。
Q.事故に遭ったらどうなる?
事故で車が損傷した場合、追加費用が発生する可能性があります。残価設定ローンは、将来的な車両価値を残価として据え置く方法です。事故で車が損傷してしまえば、その車の価値は下がってしまうため、当初設定した残価では下取りができません。
修復歴が付いてしまうような事故を起こせば大幅に減額され、廃車にするような損傷具合であれば車両価値はないため残債を全て一括支払いする必要があります。このようなリスクに備え、任意保険に加入しておくことが大切です。
まとめ
残価設定ローンの金利は、3%~9%程度です。ディーラーによってはキャンペーンを行っており、そのタイミングで契約すれば1%~2%前後にしてもらえるケースもあります。これらの数値は目安であり、実際にはメーカーごとの差もあるため、金利にこだわりたい方は、複数の見積もりを取ることが大切です。
残価設定ローンを契約する際は、金利に目が行ってしまいがちですが、走行距離の上限や選べる車種・グレードをしっかりとチェックすることが大切です。慎重に検討することで、残価設定ローンだけのメリットが実感できるでしょう。