残価設定ローン(残クレ)とは?仕組みやデメリットを徹底解説!

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残価設定ローンは、新車を購入する際のひとつの方法です。新車を購入する際、ディーラーの担当者からお得な購入方法として案内される方もいるでしょう。しかし、残価設定ローンとはいまいち分からない、本当にお得なのかと疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、残価設定ローンとはどのようなものか、利用するメリットやデメリットを紹介します。最後まで読んで、残価設定ローンが自分にとって最適な購入方法なのかを見極めましょう。

残価設定ローンとは?特徴や仕組みを分かりやすく解説

残価設定ローンは、車の購入方法のひとつです。新車をお得に購入する方法としてディーラーから案内された経験がある方もいるでしょう。ディーラーだけでなく、一部の金融機関でも提供していますが、本記事ではディーラーの残価設定ローンについて紹介します。

残価設定ローンは残価を決めてローンで支払う方法

残価設定ローンは、ローン契約時に残価を決め、契約終了まで据え置く方法です。車両購入価格から残価を除いた金額を契約期間内で分割して支払います。

例えば、新車価格350万円の車を3年(36回)払いの残価設定ローンで購入する場合、まずは契約期間終了時の残価を出します。3年後の残価を150万円として契約する場合、ローンで返済するのは、350万円から残価を差し引いた200万です。残価を差し引いた分を返却するため、1か月当たりの返済額が少なく済みます。

マイカーローンとの違いは何?

マイカーローンは、金融機関が提供するローンです。マイカーローンで購入すると所有権が購入者にできるのが一般的で、カスタマイズや走行距離の制限も設けられません。そのため、自由度の高いカーライフを送りたい方も満足できるでしょう。

また、マイカーローンは金利が低く、審査が厳しい特徴も持っています。月々の支払額や総支払額を抑えられる魅力はあるものの、年収や雇用形態などが審査基準を満たさなければ利用できません。

以下の記事では、カーローンの種類ついて解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

カーリースとの違いは何?

車の購入方法のひとつとして、カーリースという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。カーリースは、リース会社が購入した車を借りるサービスです。

残価設定ローンよりも契約期間が長く、月々の支払額に車両購入費用・車検費用・自賠責保険料・自動車税などが含まれています。残価設定ローンと同じく月々の支払額を一定にできるものの、諸費用がプラスされるため、月々の支払額は比較的高くなりやすい傾向です。

また、契約期間満了後の選択はリース会社やプランによって異なりますが、返却・再リース・譲渡などから選べます。

残価設定ローン返済後に選択できる方法は3つ

残価設定ローンを利用すると、契約期間終了後の取り扱い方法を選ぶ必要があります。取り扱い方法は「新しい車への乗り換え」「返却」「買い上げ」の3つです。選ぶ方法によって残価の支払い義務も変わります。 残価設定ローン契約時に決めるわけではありませんが、自身の状況にベストな方法を選択できるよう、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

新しい車に乗り換える

乗り換えを選ぶ場合は、契約車両を購入したディーラーへと返し、別に新たな車を契約します。契約時に残価を設定しているため、原則差額の支払いは必要ありません。新しく契約する車も同一メーカーから選ぶ必要がありますが、契約方法に縛りはなく、残価設定ローン以外の方法で購入しても構いません。

定期的に車を乗り換えたい、ライフスタイルの変化に合わせて乗り換えたいといった方に適した方法といえるでしょう。

販売店へ返却する

返却は、契約車両を購入したディーラーに返して残価精算する方法です。返却を行うとディーラーは車両チェックを行い、契約時の条件に反していないか確認します。残価設定ローンは残価を保証して契約を結ぶため、市場価値の影響を受けず、原則精算も必要ありません。

しかし、修復歴がある、走行距離制限を超えているなど、残価を保証する条件を満たさないことがあれば別途費用が請求されてしまいます。このような事態を避けるためにも、日常的なメンテナンスと扱い方に気を付ける必要があります。

車を買い上げる

車を買い上げる場合、あらかじめ設定した残価の支払いが必要です。新しい車への乗り換えや返却では、残価の支払いは必要ありません。残価を支払うと全ての支払いが済むことになり、所有権解除手続きも可能です。所有権解除手続きを行うことで、自分のものにできます。

残価の支払い方法は「一括清算」もしくは「再ローンを組んでの支払い」です。残価分をローンで返済する際は、分割可能回数に制限があることや再審査が必要なこと、金利が高くなる可能性があることに注意する必要があります。

残価設定ローンを利用するメリットはある?

残価設定ローンは通常のローンよりも仕組みが複雑で、メリットを感じにくい方もいるかもしれません。ここでは、残価設定ローンを利用するメリットを紹介します。どのようなメリットがあるかを理解して、残価設定ローンが最適な購入方法かを検討しましょう。

経済的負担をかけずに新車が買える

残価設定ローンは、車両価格の一部を残価として残す方法です。残りの金額を契約期間中にローンで返済する仕組みのため、月々の支払額を通常のローンよりも抑えられます。車にかかるお金を減らした分は、生活費や趣味などに利用が可能です。経済的ゆとりを感じながらも新車に乗れるのは、残価設定ローンの大きな魅力といえるでしょう。

短いスパンで車を乗り換えられる

残価設定ローンの契約期間は、車検を受ける3年もしくは5年が一般的です。短い契約期間ですが、常に最新モデルの新車に乗れるということでもあります。

また、ライフスタイルに合った車を選びやすいといった点もメリットのひとつです。始めは小回りの利くコンパクトカーに乗り、結婚や出産のタイミングでスライドドアのあるファミリーカーを契約するといった例もあります。

最終支払い後に乗り換える場合の手続きも、同じメーカーの車種であれば簡単です。手続きを楽に済ませたい方は、残価設定ローンで車の乗り換えを考えると良いでしょう。

残価保証で下取り価格が変動しない

現金一括やマイカーローンで車を購入し、数年後に売却する場合、売却時点の市場価値が変動することによって売却額が変わってしまいます。一方で残価設定ローンは、契約時点で決める残価は、契約期間終了時まで変動しません。

しかし、契約時の条件を満たしていないときは、残価設定ローンであっても価値が下がってしまい残価保証を受けられないこともあるため注意が必要です。

頭金不要で新車に乗れる

ローンで車を購入する際、頭金を支払って残りをローンで組む方もいるでしょう。頭金を少しでも支払えば借入額が減らせ、月々の支払い負担も少なくできます。

しかし、多くの頭金を支払えば手元に残る現金が減ってしまい、生活に支障が出ることも考えられます。残価設定ローンによっては、頭金を支払わずに契約できるプランも選択可能です。「頭金を支払う余裕がないけれど、とにかく車が必要」といったケースも対応できます。

残価設定ローンにはデメリットもある

経済的負担をかけずに新車に乗れるなど、魅力の多い残価設定ローンですが、デメリットもあります。メリットだけに着目してしまい、契約後に「思っていたものと違った」と後悔することのないよう、デメリットも理解しておくことが大切です。ここでは、残価設定ローンのデメリットを紹介します。

原状回復での返却が基本で自由なカスタマイズができない

残価設定ローンで購入した車は、返済完了後に新しい車への乗り換え、買い上げ、返却といった方法をとります。新しい車への乗り換え、販売店への返却を選ぶ場合、原則として原状回復が必要です。

例えば、エアロパーツを付けて個性的なデザインを楽しんだり、サスペンションを変えてスポーティーなデザインにしたりなど、さまざまなカスタマイズ方法があります。元の状態に戻せたとしても、カスタマイズが原因で生じた傷・汚れがあれば、修復費用が請求されることもあるでしょう。

走行距離に制限が設けられている

残価設定ローンは1か月当たりもしくは1年間当たりの走行距離制限が設けられています。これは、あらかじめ設定した残価を契約期間終了時までに維持するためです。走行距離制限をオーバーした場合は、差額精算が必要です。

例えば、契約時は送迎を目的に購入したものの、旅行など日常生活以外でも車を使用したいと思ったときに走行距離を気にする必要があります。契約プランによっても制限される走行距離は異なるため、気になる方は契約時にチェックしましょう。

傷や事故による追加費用発生リスクがある

車はどれほど気を付けて運転していても、もらい事故に遭ったり、駐車中に傷を付けられたりすることがあります。傷や損傷で車の価値が下がってしまい、当初決めた残価よりも査定額が低くなってしまったときは、差額分の支払いが必要です。

また、全損事故など事故によって廃車になるほどの損傷を受けると、車の返却はできません。このような状態になると、残債の一括返済が必要です。

総支払額は高い傾向にある

2%~4%程度の金利が設定されるマイカーローンに対し、残価設定ローンは3%~9%程度であるのが一般的です。残価分を含む総額に金利をかけることから、長く乗れば利息総額が増えやすくなってしまいます。

また、契約期間終了時に車の買い上げを選ぶ場合、当初の金利よりも高く設定されることもあります。月々の支払額が少ない短期的メリットだけでなく、長期的な目線でリスクも考慮することが大切です。

所有権が自分にない

金融機関のマイカーローンで契約したときや現金一括で購入したときは、車検証に記載される所有者が自分名義で記載されます。しかし、残価設定ローンは車をディーラー側が担保としているため、所有権を持てません。所有権がなければ自由な売却・処分もできず、自分のものにするには残価精算後に所有権解除手続き(名義変更)を行う必要があります。

残価設定ローンが適している人の特徴

残価設定ローンにはメリットもデメリットもあり、自分は適しているのか悩んでしまう方もいるでしょう。ここでは、残価設定ローンが適している人の特徴を紹介します。

生活に負担をかけずに新車を購入したい方

残価設定ローンは、あらかじめ設定した残価分を差し引いた金額をローンで返済する仕組みです。そのため、通常のローンよりも毎月の返済額は抑えられます。車は欲しいけれど家計に影響を与えたくない、頭金を出せるほど貯蓄がないといった方に最適な購入方法です。

ライフスタイルの変化に柔軟に対応したい方

結婚・出産・就職・転職など、ライフスタイルが変化するタイミングで車を買い替える方もいます。ライフスタイルの変化に応じて、それに見合った車に乗り換えることで維持費の無駄も省くことが可能です。例えば、結婚するまでは税金の安い軽自動車に乗るが、結婚して出産するタイミングでミニバンに買い替えるといった方は、残価設定ローンをおすすめします。

常に新しい車に乗りたい方

車は、3年~5年ほどの間隔でマイナーチェンジ、5年~10年ほどの間隔でフルモデルチェンジされるのが一般的です。フルモデルチェンジが行われると内外装デザインが一新されるだけでなく、パワートレインや安全装備などもより良いものへと変わります。

車を所有する方の中には、常に最新モデルに乗りたいと思う方もいるでしょう。残価設定ローンの契約期間をモデルチェンジのタイミングに合わせて3年~5年などに設定することで、先進装備を備えた新車に乗り換えられます。

使用頻度が少ない方

公共交通機関が発達している地域に住んでいる、徒歩・自転車での移動がメインといったように、車の使用頻度が少ない方は、残価設定ローンがおすすめです。走行距離の制限も気にすることなく、車を使用できるでしょう。

残価設定ローンが不向きな人の特徴

残価設定ローンのデメリットから、不向きな人もいます。以下の特徴に当てはまるようなときは、金融機関のマイカーローンや他の購入方法を検討しましょう。

自分の車として所有欲を満たしたい方

残価設定ローンで契約した車の所有者名義は、ディーラー(販売点)名義であるのが一般的です。残価設定ローンの契約者はあくまでも使用者であり、所有者が持つ権利を行使できません。所有権を持つと車の売却・廃車が行えます。

通常の使用においては、自分に所有権がなくとも問題はありません。しかし、自分の車であるはずなのに気を使ってしまい、嫌に感じる方もいるでしょう。所有権にこだわりたいときは、所有権が自分名義にできるマイカーローンの利用がおすすめです。

月々の走行距離が多い方

通勤・通学で車を使う方や旅行に出かける頻度が多い方は、走行距離が増えてしまいます。残価設定ローンは走行距離制限が設けられており、もし契約終了時に走行距離が制限を上回っていた場合、追加費用の精算が必要です。走行距離を気にしながら乗ることに抵抗がある方は、通常のローン利用を検討しましょう。

カスタマイズでカーライフを楽しみたい方

車を購入する方の中には、カスタマイズしようと考えている方もいるのではないでしょうか。好みのカスタマイズで車に個性を出せるだけでなく、車のコミュニティーグループにも参加できるといったメリットがあります。

しかし、残価設定ローンで購入した車は自由なカスタマイズができません。カスタマイズによって原状回復が困難になり、当初設定した残価を保証できなくなる可能性があるためです。自分だけの特別な車を持ちたいという方は、通常のローンを利用しましょう。

一台の車に長く乗ることを前提に購入したい方

近年は技術が進歩して、車に不具合が発生する割合が少なくなっています。そのため、車種や使用環境次第では一台の車に長く乗ることも可能です。

マイカーローンであれば、ローンの支払いを終えれば、維持費以外にかかる費用はなくなります。一方で残価設定ローンは、契約期間が終われば新しい車への乗り換え、買い上げといった選択が迫られます。ローンの支払いを済ませてプレッシャーのないカーライフを過ごしたいという方は、残価設定ローンよりも他のローンを選ぶのがおすすめです。

低金利にこだわりたい方

同じ借入額でも、低金利のローンを組めば総支払額が抑えられます。低金利のローンとして利用されることの多いのが金融機関のマイカーローンです。審査は厳しいものの、他のローンよりも低金利で借りられます。以下は、マイカーローンと残価設定ローン(買い上げ)の支払額比較表です。

支払い方法

マイカーローン

残価設定ローン

車両価格

350万円

350万円

残価

0

100万円

金利

2.0

4.0

借入(契約)期間

5

5

1か月の返済額

61,347

5131

総支払額

368825

3957,729

同じ契約期間であるにもかかわらず、残価設定ローンで買い上げを選んだ場合は、20万円以上の価格差が生まれます。金利によっては、これ以上の価格差が生まれるため、支払い方法は慎重に選ぶことが大切です。

以下の記事では、低金利でおすすめのカーローンについて解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。

まとめ

残価設定ローンは、将来的な契約満了時の想定下取り価格を残価として設定し、残りの金額を分割返済するローンです。残価を差し引いた分を返済するため、月々の支払い額を抑えられる魅力があります。残価を担保するために走行距離制限やカスタマイズ制限が設けられていたり、修理費用が追加で発生したりするリスクも抱えています。

そのため、通勤通学で走行距離が多くなりやすい方や自由にカスタマイズを楽しみたい方には適していません。しかし、月々の支払いを抑えながらお得に新車に乗りたい方、買い物など使用頻度が少ない方にとっては良い購入方法といえるでしょう。

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