自社ローンは、信販会社を介さずに中古車販売店と直接ローン契約を結ぶ購入方法です。他のローンよりも審査基準が緩い傾向で、審査に不安の残る方でも利用しやすい魅力があります。魅力の多い自社ローンですが、支払い期日を過ぎた場合に遅延金は発生するのでしょうか。
この記事では、自社ローンを利用した際に遅延金が発生するのか、遅延金請求を無視した場合に起こるリスクを紹介します。最後まで読んで、自社ローンに対する正しい知識を身に付けましょう。
自社ローンの返済が滞ると遅延金は発生する？
自社ローンは、信販会社を通さない中古車販売店と直接契約を結ぶローンです。中古車販売店オリジナルの審査基準をクリアすれば利用できるため、信用情報に不安があっても利用できます。しかし、他のローンと同じように完済までは計画的に返済を進める必要があります。ここでは、自社ローンの概要、遅延金に関する情報をチェックしましょう。
そもそも自社ローンとは
自社ローンは、中古車販売店が独自に提供するローンです。金融機関が提供するマイカーローンのように信用情報機関から信用情報を得て審査を行うのではなく、独自で決めた基準で審査を行います。信用情報に関係なく審査を行うことから、審査通過に不安がある人でも利用しやすいのが特徴です。
マイカーローンは金融機関に返済を行いますが、自社ローンで購入した場合は中古車販売店に返済します。審査基準だけでなく返済に関するペナルティーも中古車販売店ごとに異なるため、不明点は確認してから契約を結びましょう。
以下の記事では、自社ローンとは何か解説しています。
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遅延金（遅延損害金）が請求される
遅延金（遅延損害金）は、返済期日を過ぎても支払いを怠った際に発生する追加料金です。自社ローンで発生する遅延金は中古車販売店によって異なり、一定の金利を設けているところや固定額を請求するところもあります。
遅延金の額は日割り計算で求められるのが一般的です。そのため、遅れれば遅れるほど増えてしまいます。遅延金請求に関する内容は、契約書に記載されているため注意深く確認することが大切です。
遅延金を支払わずにいると車が引き上げられる
遅延金が発生していてもなお支払わない、中古車販売店からの連絡を無視すると購入した車の引き上げが行われます。車が引き上げられるのは、中古車販売店が担保として車を販売しているためです。そのため、車の所有権は完済するまで中古車販売店に置かれます。
車が引き上げられればその後車を利用できずに生活が不便になるだけでなく、引き上げた車の原状回復費用が請求されることもあります。
遅延金が請求されるステップ
遅延金は突然支払いを迫られるわけではありません。請求されるまでにはいくつかステップを踏みます。ここでは、支払い予定日を過ぎたらどのようなステップを踏むのか、一例を紹介します。実際にどのようなタイミングで遅延金が発生するかは、中古車販売店によって異なるため、契約書をしっかりとチェックしましょう。
支払い期日から数日
支払い期日を過ぎた直後は、中古車販売店から支払いを催促する電話連絡が入ります。状況次第ですが、最初の連絡で話し合うのは振り込み状況の確認や支払い予定日です。
当初の支払い予定日までに支払いが難しいと分かったら、そのタイミングで中古車販売店に連絡を入れたほうが良いでしょう。支払予定日前に余裕を持って連絡を入れておくことで、中古車販売店の柔軟な対応で車の引き上げも避けられるかもしれません。
支払い期日から1か月
支払い期日から1か月ほどがたつと、電話連絡よりも厳しい措置が取られます。これまでの電話による支払い催促だけでなく、ローン残債の一括返済、車の引き上げ予告などです。場合によってはこれだけで済まず、損害賠償請求が行われるケースもあります。
残債の支払いに損害賠償金の支払いも合わされれば、金額は膨大になってしまうでしょう。このような事態になっても無視し続けると「踏み倒しをした」こととなり、より厳しい次の措置が講じられます。
遅延金の請求を無視して踏み倒した場合に起こるリスク
「遅延金が請求されても無視すれば良いのでは」と思う方もいるかもしれません。しかし、遅延金の支払い義務が発生しているにもかかわらず、無視し続けるとさまざまな問題が発生します。
勤務先もしくは身内に連絡が入る
遅延金の請求は、自社ローン契約者へと連絡が入ります。契約者と連絡がつかなければ遅延金の支払い催促のために、契約者の勤務先、家族に連絡をすることもあります。
勤務先や家族に自社ローンを利用していることを知られたくない方もいるでしょう。遅延金の支払いが遅れれば、中古車販売店は何とかして契約者と連絡を取ろうとします。請求の連絡をきっかけに自分の評価が落ちたり、信頼関係が悪化したりするため注意が必要です。
車以外の資産も差し押さえられる
遅延金の支払い義務が発生しているにもかかわらず、中古車販売店からの連絡や督促状を無視し続けると、裁判所を通じて資産の差し押さえが行われます。差し押さえは、車以外にも銀行口座内の貯蓄や給与、不動産、財産価値のある動産などが対象です。
資産の差し押さえは、遅延金請求を無視し続けて最終的に行われるもので、拒否権の行使はできません。このような事態にならないよう、支払いが難しくなったときは貸主である中古車販売店に早めに相談することが大切です。
同じ店を利用できなくなる
返済を滞納すれば、貸主からの信頼度は落ちてしまいます。そのため、返済に応じたとしても一度滞納してしまえば、利用した中古車販売店でメンテナンスを受けたり、新しい車へ乗り換えたりすることが難しくなることもあるでしょう。
中古車販売店によっては、無料のエンジンオイル交換などのアフターサービスを充実させています。このようなお得なアフターサービスを利用するためにも、しっかりと支払いを続けましょう。
返済義務が保証人に移る
自社ローンの契約時に保証人を立てるケースがあります。保証人は、自社ローン契約者の返済が滞った場合の代わりとして返済義務を負う人です。自社ローン契約者が滞納し、支払い義務に応じなければ返済義務が保証人へと移行します。
保証人もそのリスクを承知しているとはいえ、実際に返済義務が生じれば自社ローン契約者との関係性が悪化することもあるでしょう。保証人との関係性維持のためにも、無理なく返済できるようにすることが大切です。
車両引き上げ後は別途費用がかかる場合がある
車両引き上げにまで至った場合、車両が引き上げられるだけで済まないことが考えられます。車両の引き上げには、人件費やレッカー車、引き上げ場所までの交通費、手数料などの費用が必要です。費用を合計すると10万円程度にもなるケースがあることを覚えておきましょう。
悪質業者でなければ違法な取り立てはない
自社ローンで購入した車は、担保としているため中古車販売店に所有権があります。そのため、契約者が支払い義務に応じない場合は、取り立てが可能です。
しかし、中古車販売店は取り立てる権利があっても、違法な取り立て行為は禁じられています。違法な取り立て行為とは、早朝もしくは深夜時間帯の取り立て、脅迫・威圧するような言葉での取り立てなどです。
悪質な中古車販売店でなければ、このような違法な取り立て行為は行いません。万が一、違法な取り立て行為をされた際は、警察署や消費者生活センター、弁護士へ相談しましょう。
自社ローンで遅延金を発生させないためのポイントとは？
悪質な中古車販売店業者でなければ違法な取り立てはないものの、滞納すれば中古車販売店には遅延金を請求する権利が生まれます。遅延金が発生すると中古車販売店との信頼性が崩れてしまいます。ここで紹介するポイントを踏まえて、遅延金を発生させない自社ローンを契約しましょう。
収入やライフスタイルに適した車を購入する
自社ローンの審査では、収入から返済能力の高さを判断します。中古車販売店独自の審査基準で他のローンよりも審査通過しやすいとはいっても、返済能力に見合わないような高級車を選んだりすれば、審査通過は困難といえるでしょう。
日常生活では、住宅ローンの返済や光熱費の支払いなどさまざまな費用がかかります。遅延金を発生させないためには、最適な収支バランスを維持できるような契約を結ぶことが大切です。
頭金を入れて借入額を抑える
自社ローンを利用する際は、頭金を入れることで借入額を減らせます。借入額が減れば、月々の支払額だけでなく、総支払額も減らすことが可能です。
また、頭金は支払い負担を減らすだけでなく、中古車販売店から信頼度を得るためにも役立ちます。少額でも頭金を支払えば、審査通過率を高められます。
返済計画を立てた上で利用する
月々の支払いが負担になることで期日を過ぎても支払いが難しくなるのは、購入前の計画が不十分であることが考えられます。返済計画を立てる場合に明確化したいのが収入と支出です。現在の収入に対して返済額の負担が大き過ぎないか、他の支出と合わせても支払えるかを確認します。
中古車販売店によっては、シミュレーションの利用や返済計画例の閲覧が可能です。返済計画を立てる際は、転職や退職、子どもの入学・進学などのライフイベントで発生する出費も考慮します。負担が大きいと感じたら、無理をせずに返済計画を見直しましょう。
購入費用だけでなくその後の維持費もチェックする
購入方法にかかわらず、車は購入時にかかる費用やローン返済額だけでなく、維持費がかかります。例えば、ガソリン代・税金・車検費用・メンテナンス費用・駐車場代などです。車に乗っていれば事故に遭うリスクもあるため、事故による修理費用も考慮する必要があります。
維持費を計算した結果、想像よりも高額になってしまうこともあるでしょう。計画的な返済を実現するには、維持費も考慮した上で、月々どれだけ返済に充てられるのか考えることをおすすめします。
複数のローンを組まない
自社ローンに限った話ではありませんが、新たにローンを組む際は、できる限り他のローンと重複して契約しないことが大切です。
例えば、奨学金を返済中である、ローン返済中の車があるといったようなことが当てはまります。他のローン返済があるにもかかわらず新たに自社ローンを契約すると、単に月々の返済負担が増すだけでなく、うっかり延滞してしまった場合も返済負担が大きくなるためです。結果として自社ローンだけでなく、他の返済もできなくなってしまう恐れもあります。
安心して利用できる自社ローンを探すならここをチェックしよう
自社ローンを提供する中古車販売店は、いくつかあります。初めて利用する方にとって、どの中古車販売店の自社ローンであれば安心して利用できるか、見極めるポイントが難しいのではないでしょうか。ここでは、安心して利用できる自社ローンの見極めポイントを3つ紹介します。
支払い回数が多く柔軟な返済計画を立てられるか
ローン完済までの期間が短いほど、月々の支払額が多く負担になってしまいます。自社ローンを選ぶ際は、支払い回数を何回まで設定できるかを確認しましょう。
自社ローンで選べる支払い回数は、24回～36回（2年～3年）が一般的です。中には48回や72回に設定できる中古車販売店もあります。支払い回数を多くして返済期間を長くすれば、月々の支払額を減らすことが可能です。自身の収支状況から、無理のない返済計画を立てることを心がけましょう。
GPSによる追跡があるか
自社ローンを扱う中古車販売店によっては、販売する車にGPSを取り付けていることがあります。取り付けているのは、ローン返済が滞ったり連絡がつかなかったりした場合に備えるためです。
GPSが装着されていると現在地を特定できるため「何だか監視されている気がして気分が悪い」と思う方もいるでしょう。予定通りに返済をしていれば、現在地情報を使われることはありません。どうしても気になる方は、自社ローンを組む際に中古車販売店へGPSの有無を確認すると安心です。
以下の記事では、自社ローンのGPSついて解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
SNSなどに掲載されている口コミは良いか
安心して利用できるかどうかを判断する際に役立つのは、利用者の声です。実際にその中古車販売店を利用した人の口コミを見れば、中古車販売店の良い点や悪い点が分かります。
口コミは中古車販売店のウェブサイト、SNSで確認が可能です。中古車販売店によっては、口コミと一緒に購入した車種情報や写真が掲載されています。どのような車種が買えるのかといった情報も得られるでしょう。
以下の記事では、おすすめの自社ローン優良店について解説しています。
気になる方はぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
こちらの記事では、自社ローンの選び方ついて解説しています。
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まとめ
自社ローンは、一般的なローンとは異なり、契約者が中古車販売店に直接返済を行います。返済先の違いはありますが、返済期日が設けられているのは自社ローンでも変わりありません。返済期日を過ぎると、契約書の内容に基づいて遅延金が発生します。
遅延金請求は急に行われるわけではなく、一般的にまず行われるのは催促の連絡です。滞納が続くと遅延金が請求され、それでも支払いに応じなければ車両の引き上げが行われる可能性があります。期日通りに返済したり、悪質業者から購入したりしなければこのような事態は避けられます。安心して利用できる中古車販売店であるか、探す際は慎重に見極めましょう。
